ブログを読み返してみると、丸太を引取ったのが2年前。はじめのお打ち合わせから2年以上が経ちました。
丸太を製材し工房外に屋根をかけて置いてあったころはお越しになったお客様に「何の木ですか?」、「なにに使われますか?」とよく聞かれました。というのも製材してから反ったりひねったりとよく暴れる木だったので家具に使えなさそうに見えていたのかもしれません(私自身も不安でした)。実際に丸太から使った箇所は引き出しの前板と呼ばれる化粧板。材料をこちらでそろえて製作させていただくなら木目が通るようにしたり、柾目でご提案していたかもしれません。しかし限りある材料の中から最善を尽くすというのもいいと思ったし、木目の荒々しさと、前板の木目がつながっていないパッチワークのような雰囲気も、周りの無骨なコンクリートブロックや床のモルタルとの相性と合っています。
製材時に丸太を引き割ってみないと家具に使える材料かどうか分からない事や、乾燥過程で反り、ねじれ、割れ等が生じて使えなくなる可能性がありました。正直、乾燥材をこちらでご用意させて頂いたほうが製作上のメリットが多いように思いますが、それらのリスクを乗り越えても思い入れのある桜の木で作るんだという気概があって、この家具が出来上がったように感じます。
この土地に育っていたご先祖が植えられた木をこうして家具に使わせていただける事に関わらせていただけた事に感謝です。
ありがとうございました。
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